ピロロン♪

《お母さん、今日も遅くなります》

はぁ。いつものことなんだから、いちいち連絡してこなくていいんだけど。

返すのもめんどくさいから既読無視。

今日は夕飯なににしよ。てか、
お腹すいてないし、食べなくていいか。

ピロロン♪

2回目のメッセージ音。

なに?お母さんまだ用あるの?

そう思ってメッセージを開く。

それは、お母さんからではなく友人の紗南(さな)からだった。

紗南は幼い頃からずっと一緒にいて私の大親友。

この世界に紗南だけが居てくれれば、それだけで私

は幸せだ。ほかに友達だって、恋人だって家族だっ

て要らない。そのくらい紗南のことは大好き。

紗南は私の家庭事情とか私の性格とか全て理解してくれている。

どんな時もずっと側にいてくれる。だからすごく信頼してるんだ。


けど、いくら紗南でも言えないこともあったりして…特に彼のことはあまり話してない。

だから紗南は本当にいつも心配してくれるんだ。




今日も、ほら。こうやって連絡をくれる。

《ねぇ、憂の彼氏さん、また知らない女とあるいてましたけど。大丈夫なの?もう何回目?そろそろ問い詰めてもいいんじゃない?》

これもいつものこと。

紗南、ご親切にいつも遭遇情報提供ありがと。

でも、もう慣れたよ。なんとも思わないんだ。

なんでかわからないけど、本当になんとも思わない

干渉したくもないしされたくもないから。でも彼は

あたしにとって大切な人だし、恋人として好きだっ

て思ってる。

逆に、浮気なんてサイテー!!もう別れよう…って言う人の方がよくわからない。

そんなに浮気されると嫌なものなの?それが普通?あたしがおかしいの?…わからない。

《紗南、心配してくれてありがと。そうだね、問い詰めてみた方がいいかもね。がんばります》

思ってもないことを返信する。

ごめんね、紗南。心配してくれてるのに。

でもね、彼はあたしが好きだっていってくれるから

私もなにがなんでも好きでいたいの、

そうでも思ってないと、あたし…

本当に人を好きって気持ちがどこかに消えそうで…

この関係を、この気持ちを消えないように守りたいんだ。


ピロロン♪

《憂がそう言うならいいけど…本気で彼が好き?本気の本気で彼に恋心がある?もしも憂を泣かせたら絶対許さないから!》

紗南…。

ふふっ

絶対許さないってあたしにいわれても…

私は本気で彼が好き…

だと思う。