片翼の蝶




えっ?と思って辺りを見渡すと、
視界の端に女の子がいた。


私と同い年くらいの女の子。


見たこともない制服を着ていた。


ずるいって何?私に言ったよね?


女の子は私を、いや、
珀を思い切り睨みつけていた。


珀が見えているってことは、
この子も私と同じ体質の子なのかな?


「あなた、誰?」


〈あたし?あたしは真紀。あなたは?〉


「私は、茜」


〈茜、あなた幽霊が見えるのね〉


真紀と名乗った女の子はにこりと笑うと、そう言った。


真紀は口角を上げると、
急に真顔に戻って珀を睨みつける。


自分から幽霊に喧嘩売るなんて、いい度胸だ。


そう思っていると、真紀は珀に詰め寄った。


〈あなた、ずるいわ〉


〈ずるいって、何が?〉


〈あたしにも、茜を貸して〉


真紀の言葉にぽかんとしていると、
真紀は珀の手を掴んだ。






……え?掴んだ!





「あ、あなた、幽霊に触れるの?」


びっくりして目を見開き、
指を指すと真紀はくすりと笑った。


〈ああ、あたし、幽霊だから〉


「ゆ、幽霊!」


知らなかった。


私と同じ体質の人間かと思っていたのに、
まさか幽霊だったなんて。


真紀は掴んだ珀の手を掲げて口を開いた。


〈幽霊同士は触れるのよ。いいでしょ〉


「そ、そうなの?」


珀を見つめると、
珀は楽しそうに笑っていた。


何がそんなに面白いのか。


こっちは訳が分からなくて混乱しているっていうのに。


真紀はそんな珀を睨むように見つめて、
それから私に視線を移した。


「あなたはどうして私なんかを……」


〈だってあなた、美味しそうだもの〉