ね?びっくりしたでしょう?
幽霊が見えるようになったのは多分、
小説を書き始めたせい。
物語の世界に没頭して、ある時、
幽霊の声が聞こえる主人公が
その声に導かれて冒険をするお話を書いた時から、
なんとなく人ではない何かの気配を感じていて、
書き終えた頃にはばっちりと
幽霊の姿が見えるようになっていた。
おかしな話でしょ?
でもね、あるんだよ。
だって今まさに見えているんだもの。
五歳くらいの男の子の幽霊だった。
男の子は赤い帽子を被っていて、
鼻の頭に絆創膏を貼っていた。
ぐずぐずと泣き出した男の子は、
私の斜め前の席の男の子の背中をつついて
しきりに助けを求めていた。
助けて、助けてって。
幽霊だから半透明かと思いきや、
人と違わぬ鮮明さで見えてしまうものだから、
時折人かどうか判別がつかない。
だけど学校にいる間は制服を着ていない人は
全員見分けがついてしまう。
この男の子はまさしく、幽霊だった。
男の子は斜め前の席の子を諦めて
泣きながらウロウロする。
私は目を合わせないようにチラリと
横目で観察していた。
ここで気づかれては厄介だ。
ここはやり過ごそう。
〈助けて、一緒に遊んで〉


