あとがきを読み終えて、
私は一番初めのページに戻る。
「片翼の蝶」「杉内珀」。
その文字をなぞって目を閉じ、息を吸う。
ゆっくりと目を開けて、私はページを捲った。
舞台は旧校舎。
小学一年生の頃に埋めたタイムカプセルを
見に行こうと友達に誘われた主人公の梨花は
グラウンドへ向かう。
昼間なのに、旧校舎は不気味だ。
梨花はグラウンドの真ん中、
大きな木の前に立つと、
スコップで地面を掘り起こしていく。
随分経った時、何かがこつんと当たった。
手で土をはらってみると、
そこには大きな缶があって、
友達と二人で顔を見合わせた。
蓋を開けると、いろんなものが目に飛び込んで来た。
誰かの賞状だったり、ミニカーのおもちゃ、
小さな鏡、当時は宝物であっても
今はガラクタとも呼べる代物が沢山そこにあった。
その中で梨花はある一通の手紙を見つける。
そういえば自分は手紙を埋めた。
そのことを思い出して手紙を拾い上げた。
少し茶色く黄ばんだそれを広げて見ると、
そこには見覚えのない文字で、
見覚えのないことが書いてあった。
―十八才、その時ぼくは、しぬだろう。


