ぴしゃりと言い放ち、私は立ち上がった。
大きく伸びをしてカーテンを開ける。
ついでに窓も開けると、
生ぬるい風が部屋の中に入ってきた。
気持ち悪いのですぐに閉めた。
服を着替えてリビングに降りると、
お母さんがキッチンに立っていた。
食卓には卵焼きとご飯、味噌汁が置かれていた。
すでにお父さんが座ってご飯を食べている。
「あら、今日も早いのね。最近どうしたの?」
「別に。特になんでもないよ」
「雨でも降るのかしら。珍しいわね」
「その勢いで勉強もしてくれたらいいんだがな」
お父さんが、ははっと笑った。
お母さんの作ったニンジンジュースを飲んで
テレビを見ている。
勉強か。やる気はないけど、
そろそろしてみようかな。
どうせしたところで私の成績は変わらないだろうけど。
進路のことを考えると頭が痛くなる。
大学に行かなければいけないのかな。
でも、そうしたら私に入れる大学って存在するのかな。
将来のことは考えたくないけれど、家は出たい。
でも、一人で生きていくって大変だろうな。
もうしばらくは、私はこの家を出られないと思う。
そう思うと更に頭が痛くなったので、やめた。
ご飯を手早く食べて、歯磨きをしに洗面所に行く。
鏡を覗くと、珀が後ろに立っていた。
でも特に話すこともなく、
私は歯磨きを済ませて顔を洗った。
本屋さんが開くまでまだ時間がある。
小説の続きを書こうと思って二階に上がると、
珀がにやりと笑った。
〈勉強、教えてやろうか?〉
「はぁ?」
〈俺が教えてやる〉
素っ頓狂な声を上げた私を見つめて、
珀はさらに唇に大きく弧を描く。
そして机を指さした。
〈座れ〉
「えー、いいよ」
〈いいから。親に叱られるぞ〉
「うーん」
低く唸って、頭を抱える。
土曜の朝から勉強?勘弁してほしいよ。
でも、珀は怖い顔をして聞く耳を持たないので、
仕方がなく椅子に腰を下ろして、棚から参考書を取り出した。
〈どこの大学を狙ってるんだ?〉
「知らないよ。入れればどこでも」
〈じゃあ、S大なんてどうだ?〉


