片翼の蝶




図書室を出るともう薄暗くなっていて、
怖くなった私は急いで階段を駆け下りる。


途中、何人か幽霊が彷徨っているのが見えた。


薄暗い校舎に幽霊は怖すぎる。


なるべく目を合わせないように
地面を向いて走ると、慌てて校舎を出た。









家に着いて、乱雑に靴を脱ぎ捨てると
お母さんに怒られた。


一度怒られると関係ないことまで怒られてしまうから面倒。


ため息をついて脱いだ靴を丁寧に揃えて置く。


お母さんは私を見て小さく笑った。


「茜、今日は学校どうだった?」


「毎日聞かないでよ。別に普通だよ」


「なんだ、つまんないのね」


つまんないとは何よ、つまんないとは。


お母さんは私のことをよく気にかけている。


それは中学時代の私のことを今でも心配しているから。


なかなか学校に馴染めなかった私はいじめを受けていた。


おどおどした私の性格が鼻につくのだろう。


無視はもちろんのこと、靴を隠されたり、
悪口の書いた手紙を机の中に入れられたり、


時には呼び出されて文句を言われたりもした。


当時の私にとっていじめはとても辛いもので、
毎日泣いて帰ってはベッドに突っ伏していた。


みんなが受験しないような遠くの高校を受験して、
ようやくいじめから逃れた私は今、
貴子のグループに属している。


グループに入っていれば大丈夫。


時折冷たい反応をされるものの、
なんとか生き残れている。


学校は戦場。


生き残れなければ死が待っている。


いじめられたら死んだも同然。


三年間は地獄を見ることになる。