同級生の一人が真顔で缶を凝視しながら杏に突っ込む。

 確かに、湿気が多くてどちらかというと暑い日にホットのコーンポタージュはあまり飲む気にはなれず、突っ込みたくなる気持ちも分かる。

 しかし杏は、

「え、りゅーせいやから。」

 と、しれっと片付ける。

 そのやり取りを聞いて、教室中がまたしても笑いに包まれた。

 流星はあまり納得のいってない顔でプルタブを開けた。
 
 杏と同級生の流星は二人とも関西出身で、出身校こそ違うが吹奏楽部に所属していたという共通点から、コンクールなどを通して顔見知りだったらしく入学直後から意気投合したらしい。

 水帆はこの二人のやり取りが、お笑い芸人のコントを見ているようで好きだった。