「あっはっはっは!
“あの”都築 莉花(ツヅキ リカ)を泣かせた?!
そりゃ傑作!」
「笑いごとじゃない!!」
クラスで唯一の友人である佐伯(サエキ)の言葉に、そう叫んでテーブルをドンと叩いた。
その反動でテーブルの上に置いてあるフライドポテトとジュースが軽く動く。
ーーー時は放課後。
意気消沈気味の僕を見た佐伯に無理矢理誘われ、ハンバーガーショップに来ていた。
「…なんで僕がこんな目に…」
そう言ってハンバーガーを片手に項垂れる僕を尻目に、佐伯は美味しそうに隣でハンバーガーを頬張る。
神様というものを、これほど恨んだ日はないだろう。
明日には、僕が彼女を泣かせたという噂が口から口に広まり、僕の平凡な学校生活がなくなることは目に見えている。
5分にも満たないあの数分間で、僕の人生は180度変わってしまったのだ。
「それにしてもお前、都築 莉花と仲良かったっけ?」
「仲がいいどころか、話したことすらないよ!
こっちが聞きたいくらいだよ!」
「あー…、まぁそうカリカリするな。
店員にも他の客にも迷惑だから」
そう言われて状況を察した僕は、静かに俯いた。
