「…えっ……」
そんな彼女を見た瞬間、血の気が引いていくのがわかった。
泣かせた。
クラスのーーーー
いや、この学校でも1番の人気と言ってもいいだろう女子生徒を
地味で冴えないこの学校のスクールカースト底辺にいるこの僕が。
…こんな所誰かに見られでもしたら、僕の平凡な学校生活は終わりだ。
あわてて周りを見渡し、この状況を誰かに見られていないか確認する。
とにかく今は彼女が何故泣いているのかとか、そんなことよりも自分のことで頭がいっぱいだった。
「ちょ…、あのっ、えっと……」
泣いている彼女を前に、おろおろしていると今にも消えてしまいそうな声が聞こえた。
「…ほんと、なんなの……」
「…え?あの…」
なんのことを言っているのかがわからなくて、彼女の顔をのぞき込んでそう言った。
目線が合った瞬間、彼女は少し驚いたようにしてすぐにその場を立ち去った。
さっきまで
ずっと夢の中にいたような、現実感のなさ。
しばらくぼーっとホースから水が流れるのを見つめたあと、我に返った。
