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そして、冬は終わり
太陽の光が心地よい季節になった。



学年が変わっても、
彼女の定席は変わらなかった。

しかし雪が振らない分
その美しい横顔を見る機会は減り、
やはり連絡先を聞いておくべきだったか
と、小さな後悔をしてしまうほどには
もどかしさを感じはじめた。



ますます、彼女から目をそらせなくなった。



春の光を浴びるその後ろ姿は
俺の睡魔を誘発させた。

ひっそりとあくびをして、
俺は頬杖をつく。

依然として視線は彼女に向けたまま
うつらうつらとまどろみ始めた時、
彼女の頭がカクン、と揺れた。



「...ふ、」

思わず、笑みがこぼれた。

彼女にも睡魔が襲っているらしい。
俺のとほとんど同じタイミングで。

可愛いな、

思わず口からこぼれたんじゃないかと
一瞬肝を冷やすほどに
その言葉は自然に心の中で零れていた。



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