― 美しい横顔だと思った。

彼女を初めて認識したのは
去年の冬、朝から雪が降り止まない日だった。



彼女は毎度窓側の席に1人で座って、
雪降る外の景色に釘付けだった。

彼女を知る友人曰く、
雪の降らない地方の出身のために
彼女にとっては新鮮な景色らしい。

それを知ってから見つめる彼女の後ろ姿は
いつもどこか楽しそうで、
時折はっきり見える横顔は
それはそれは美しかった。



「そんなに気になるなら、連絡先教えようか?」



一度、友人にそう尋ねられたが
俺は首を横に振った。

距離を詰めるには
彼女は俺にとってあまりにも儚い存在だったのだ。



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