俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」

リリーの視線を感じる。俺は顔をそらしたまま、言った。

「恋人はいない!そもそもできないだろう!」

「どうして?」

「こんな……こんな真面目だけが取り柄の俺を、誰が好きになってくれるんだ」

なぜリリーにこんなことを言っているのか、自分でも不思議だ。

仲良く歩く家族の姿を街中で見かけると、正直羨ましくなる。俺は幼い頃に両親を亡くし、孤児院で育った。

家族に強い憧れがあるのは事実だ。

「じゃあさ、私と恋する?」

リリーの言葉に驚き、リリーの方に顔を向ける。リリーは真面目な顔で俺を見ていた。

胸がぎゅっと高鳴る。

しかし、リリーは一瞬でいたずらっ子のような笑みを浮かべ、舌を出す。

「な〜んてね!」

俺は恥ずかしくなり、顔を赤くしながらリリーの頰をつねった。

「痛い!痛いよ〜」

「からかうのもいい加減にしろ!!」