いつか訓練でしたことを思い出しながら、慎重にみんなを避難させる。幸いにも、みんな指示に従ってくれた。

船員が用意した救助ボートに乗り込み、みんなは安堵のため息をついた。

振り向くと船はほとんど沈んでいる。あのままパニック状態だったら、逃げ遅れる人がいただろう…。そう思うとゾッとした。

「リーバスすごいね!さすがムキムキ!」

リリーがそう呟く。

「まあ、訓練しているからな……。というか、ムキムキは関係ないだろう」

船員が救助要請をし、リーは気分が悪くなった人がいないか聞いて回っている。

なぜ急に船は沈み出したのか。ドンという音が聞こえたので、ただの事故ではないことは予想できる。

ふと隣を見ると、リリーが真面目な顔になり黙って何かを考えていた。リリーのこんな顔を見たことなどない。

真っ白な肌、グロスの塗られた唇に少しの間見とれてしまった。落ち着いていれば、かなりの美人だ。

こんな時に何を考えているんだ、と我に返った時恥ずかしくなった。

そのあとは救助隊によって助けられ、ギール国へと向かった。しかし、現地の警察に事情聴取を受けることになったため、会議は延期となった。