俺の貴族・王族嫌いは直りそうにない。しかし、リリーだけは違う目で見ることができる気がする。

さっきまで緊張していたみんなの顔が、リリーのパーティーで笑顔になっている。

「……今日くらいはいいか」

俺もビールとチーズに手を伸ばす。

初日から遅刻をして、仕事をしようとしない貴族を少し違う目で見れた瞬間だった。

「へへ!やっぱりこっちの方がずっと楽しい!!」

リリーがある国の代表者に誘われ、踊り出した。ワルツなどではなく、自由に風のように踊り出す。

こいつは本当に貴族なのか?そう思いながらビールを飲んでいた俺の耳に、荒い言葉が入ってきた。

「テメェ、それは俺の酒だ!!」

「こら!あんたまだ未成年でしょ?お子様は引っ込んでなさい!」

「何だと!!ボッコボコにしてやる!」

「あたしの方が強いんだから!」

声のした方を見ると数人が喧嘩を始めていた。周りの者は、はやし立てたり、見て見ぬ振りをしてパーティーを楽しんだり、オロオロしていたりしている。