どうやら、真面目に仕事をしようとする代表者は少数派のようだ。もうみんなの頭の中は、仕事から遊びに切り替わっている。

「ねえ、あなたも一緒に踊ろうよ。一緒に楽しもうよ!」

リリーが小町の腕を引っ張る。小町は驚き、俺の手を掴んだ。強制的に俺たちはパーティーに参加させられることになってしまった。

「おいしいジェラート持って来たよ!」

そう言い無邪気に笑うリリーを見て、俺は少し不思議に思った。

リリーは貴族だというのに、貴族には見えない。服装も高級感あふれるものだが、貴族や王族が着るような重く苦しそうなドレスではない。

パーティーも貴族たちが開くものなら、こんな騒いだりすることはないはずだ。民が見ることのない高級な料理や酒が並び、貴族たちはいつも以上に着飾り、こんな激しい音楽ではなくゆっくりとした眠くなる音楽が流れている。

そして、パーティーに行くことのない民を馬鹿にしている。しかし、リリーは民とパーティーを楽しんでいる。決して馬鹿にしていない。