会場の隅にいる仮面をつけた女性たちを見る。あの人たちは、タンバリー人だったのか。

スーツを買いに行った際に、見下された時のことが蘇る。あの時の貴族がここにいるのだろうか。仮面のせいで、全くわからない。

俺の気分が悪くなったその時、会場に悲鳴と誰かが殴られた音が響いた。俺は反射的に振り向く。

そこには、顔を赤らめ激しく怒るベルベット卿と、真っ青な顔で震えるリリー、そしてベルベット卿に殴り倒された青年がいた。その青年は、貴族などではない。屋敷に仕える使用人だ。

「使用人の分際で、このような場所で踊るなど言語道断だ!!今すぐに出て行け!!お前はクビだ!!」

使用人は頰を押さえ、何が起こったのかわからないという表情でベルベット卿を見つめる。

「何をしておる!!早く出て行け!!お前はクビだと言ったのだ!!」

ベルベット卿が青年の足を蹴り飛ばす。青年は悲鳴を上げながら、会場から逃げ去っていった。

固まる対策本部のメンバーたちだが、貴族たちはなぜか笑っている。それは、人を見下した汚い笑顔。