「リーバスくん、あの貴族さちょっと殴ってもいい?」

隣にいるイワンがささやく。

「犯罪だぞ!」

俺がそう言うとイワンは少し考えた後、「じゃあ、ロール国の雪山の岩に縛り付けるのは?朝になったら間違いなく死んでるよ!」と言った。

「そんな恐ろしいことを言うな!」

俺は小さな声で怒鳴った。

嫌味に満ちたベルベット卿の演説が終わった後、夕食が始まった。しかし、嫌味な演説をたっぷりと聞かされ、みんなの表情は曇っている。食欲の塊のアレックスでさえ、料理に手をつけようとしない。

「ああ、対策本部の皆さんはパーティーでは私と親しいフリをしていただきます。こんな素晴らしいものを見せているのですから、せめて三流の役者並みの芝居くらいはしてくださいね」

その言葉にますます食欲がなくなる。

恐る恐る料理を口にしたが、何を食べているのかさっぱりわからない。おいしいとは思わなかった。

リリーがパーティーをする時に用意してくれる料理の方が、うまい。

夕食は冷えた空気のまま解散となった。楽しく笑っているのはベルベット卿だけだった。