「みんなで盛り上がろう！！」

アレックスやリーが目を輝かせる。

「楽器の演奏は任せてください！」

ジャックがどこからか出したのか、バイオリンを弾き始めた。美しい音色に皆が魅了され、踊り出す。

「私も弾いてみます！」

小町が琴を出し、弾く。琴は朱国や桜花国でしか見られない楽器だ。見たことのない楽器に皆が小町と琴を見つめる。

次々と人が集まり、一緒に歌ったり踊ったり騒ぎ出す。

会議の時などは俺の怒号が飛ぶが、今回は特別だ。

怒りなど全くない。人種を超え、一つになれた気がしたのだ。

「ね？私もいいことするでしょ？」

そう言い笑うリリーの頭を、「調子に乗るなよ」と言い苦笑しながら軽く叩いた。



自由なダンスパーティーが終わった後、俺たちはホテルではなく招待状を送ってくれたベルベット卿の屋敷へと向かった。

ベルベット卿が、屋敷に泊まってくれと手紙を送ってきたからだ。おそらく、パーティーの時に他の貴族に自慢したいからなのだろう。