俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「上」

「私の国、気に入っていただけたら嬉しいですわ」

そう髪をかきあげる仕草をするフローレンスに、小町が少し興奮しながら「とてもすてきな国ですね!」と声をかける。

「……素晴らしいです」

俺の隣でジャックが呟く。ラス国とギール国は長く敵対している国だ。

敵国同士がこうして関わり合っているのを見ると、世界平和に一歩ずつ進んでいるのだと実感する。

休戦となり、異国に旅行に行く貴族も少しずつ増えてきている。庶民も行けるようになればいいと俺は思っている。きっと、リリーもそう願っているだろう。

「わあ〜!!あのお菓子すっごくかわいい!」

リリーがベンチに座っている小さな女の子を指差す。巻き毛の女の子だ。ラス国の人間だろう。

女の子は、色とりどりのマカロンを食べていた。ピンクや黄色、水色など口に入れては幸せそうな表情を見せる。

リリーは女の子に近づき(俺が止める間もなかった)、ラス語で話しかける。おそらく「おいしい?」とか、「かわいいお菓子だね」だろう。

女の子は笑顔のまま、何かをラス語で言った。