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「彩桜〜!」
「ねぇねぇ聞いてよー」
「一緒に行こ!」


そんな声が私の周りで溢れてる。

そう、これが私の日常だった。


最初はなんとも思ってなかった。

自覚してない、なんて言えば嘘になるけど、正直私は、そこまで大したことじゃないと思ってた。

生まれた時からそうだったから。

幼稚園の時。
告白してくる子は既に何人かいた。

今となっては、この国は大丈夫か、なんて心配もするけど当時はそれを当たり前、と思っていた。

女の子からも好かれ、一人でいると必ず誰か数人が寄ってきた。

お弁当の自由席は、毎日取り合い。

ある日、私が間違えて、同じ日に2人、(といっても男の子のグループか女の子のグループかだけど)違う子とお弁当を食べる約束をしてしまった日は、
と、て、も、大変なことになった。

その日結局私は、ジャンケンで勝った男の子のグループに女の子1人で食べていた。

円になって。

今となってはほんとに謎。


終いには、一月の様子を報告する欄に
「あおいちゃんはいつもモテモテですね」
なんて幼稚園の先生に書かれる始末。




小学校に入ってからもだった。

クラスのほとんどは私を好き。


そんなの知ってた。



当たり前だった。



それが当たり前じゃないということは、その後、

成長とともに自然に理解して言った。




1日1回も喋らず、家へ帰る子がいた。

せっかくの20分休みを、友達と話さず本を読んでいる子がいた。

体育の時間、2人組を作るのに余る子がいた。

誰かがその子を馬鹿にしても、みんなは笑ってるだけ、そんな子がいた。

話しかけても、素っ気なくあしらわれるてる子がいた。

ドッチボールに誘ってもらえない子がいた。


女子の仲間意識は怖いものだ。


そうでも無い。

と誰かは言うかもしれないが、果たしてそうなのだろうか。



真似するあの子が嫌い。

話に割り込んでくるあの子が鬱陶しい。

男子に人気が高いと、女子に人気が低いあの子。

好きな男の子に近づくあの子が目障り。



いろんな子を見た。



そして、私はこう思った。



絶対こうはなりたくない。



可愛いからと言って、自慢しない。
誰かを過剰に褒めない。
ありがとう、で済ませる。
男の子にはできるだけ冷たく、ふざけて接する。

お陰で私は、青春とも言える、小学校生活を成功させた。

このことを理解してもらおうなんて思わないけれど、私だって一応、努力と言えるものはしていたつもりだ。




────でも、そんなのも小学校までだった。