保健室に入ったところで、抱きしめられている私は少し上を向いて涙を抑える。
「せんせ…」
ここに来てから、まだなにも言わない先生。
私をギュッとして、離してくれない。
「私のリレー見てた?すごかったでしょ?」
だから、少し苦しいけど先生の腕の中でそう話した。
なのにその言葉はすぐに消えて、また沈黙が戻る。
「って、見てないか。1番でバトン渡したんだよ」
私、先生に言われたことずっと頭にも心にも、嫌でも住みついているのに。
この時間が、ずっと続けばいいのにとか思ってしまう。
「だけど帰ってきた時に転んじゃってさ、笑っちゃうよね…本当…」
こんな傷より、本当は心の傷を癒してほしい。
なんて…絶対言えないんだけどさ。

