おかしいと思った。
こんなことを口走ってる自分が。
「お前、1年の時ひどかったらしいじゃん。数学、何点だったか覚えてんのか」
「…わかんない」
「16点」
って、何でそんなこと先生が知ってんの?
話も完全に逸れてるし…
「俺のこと好きなの」
「え…?」
呟くように消えていく言葉を、咄嗟に拾った。
さっきとは違う、甘い目。
そんな先生も好きだな…なんて。
「とにかく!数学頑張りますから!!」
もうこの空間に耐えられなくなった私は、教壇の下から抜けてカバンを肩にかけ直した。
「失礼します!」
頭を下げて、回れ右手をすると、後ろから腕を掴まれた。

