白浜先生は一瞬驚いていたけど、それはすぐに普通に戻る。
「やめとけ」
「どうして?」
「俺は教師で、お前は生徒だからだ」
先生の言うことに間違いはなくて、だけど納得しない自分もいる。
「それに見ただろ。俺はお前が知ってるほど優しくない」
「猫かぶってたってこと?」
「いつものは作り演技。素はこっちだよ」
そんな事実を本人の口から聞いたのに、心が揺れないのはどうしてだろう。
先生の優しい目より、冷たいこっちの目の方が好きな私は、きっとどうかしている。
「高校生活は短いんだから、今できることを…」
「数学のテストで90点以上とったら!………好きになってもいいですか?」

