「…っ好きじゃないよ」
精一杯笑って私がそう言ったら、式が始まるアナウンスが流れた。
その瞬間、先生が私に近付いて耳元で囁く。
「ごめん、俺はまだ好き」
甘い声で、そう言って。
閉まる扉。
1人きりの空間。
先生はどうしていつも、そんなにズルい人なの?
私の心をこれ以上ないくらいに強く引き寄せるのに。
それなのに…
他の人のものになるんだ。
…どんなに手を伸ばしても、届かない人になっちゃうんだ。
それからしばらくしたら、スタッフの人に参列者席に案内された。
扉が開くと、まずは先生だけが入場して牧師さんの前に立つ。
さっきまであんなに近かったはずの先生が、今ではこんなにも遠い。
あんなに思わせぶりなことを言ったくせに、先生は結婚する為にそこに立ってる。
…最低だ。
本当に。

