…嘘だ。 今だって声震えてるじゃん。 抱きしめてくれる手だって、力が入ってるじゃん。 「もう言うことないから出てけよ。それと好きでいられても迷惑だから」 息が苦しくて、先生の声がありえないくらい響く。 もうこれ以上、先生から刺すような言葉を聞きたくなくて、少し腕が緩んだ時に数学準備室から出た。 …私の恋は、終わったんだ。 先生はやっぱり、手の届かない人だった。 …ただそれだけ。 「…行くな」 だから…無我夢中で走っていた私に、その小さすぎる呟きが、聞こえる事は無かった。