説明している間、先生は教科書を読みながら、机の間を歩いてくるから、心臓はあり得ないくらいスピードを上げる。
そして私の前で、少し止まると、机の上にメモを落とした。
メモを開けると、そのメモには
‘‘ 放課後、数学準備室 ’’
ってシンプルな文字。
これ家の机に何枚もコピーして貼りたい。
最近、こうやって先生から呼び出してくれることが多くて、その度に舞い上がる。
ダメなのに…嬉しい。
放課後になって、軽い足で数学準備室へ向かう。
ノックをして教室に入れば、先生は先にいたから、なるべく離れた所に立った。
もうキスとか、婚約者さんに言えないような事はしない。
「なんか遠くね?」
「この距離が、1番声が聞きやすくて、ちょうどいいんです」
ちょうどいいんだ。
手を伸ばしても、触れられない距離が。

