後ろになんかあるの?
そう思って振り返ったことを、すごく後悔した。
「バカ…」
一瞬しか見えなかった。
私は今、啓太の腕の中。
だけど、一瞬でも見えた。
ううん。
一瞬見ればわかるほど、かっこいいのが悪い。
「あいつまじでなんなの」
頭の上から聞こえてくる声は、怒っているような気がした。
白浜先生が、女の人と腕を組んで歩いていた。
私に滅多に向けてくれない笑顔を、その人には向けていて。
それが誰なのかはわかるよ。
でもあんなに美人なんて聞いてない。
「本当にやめろよ…あんなやつ」
「あれは仕方ないの…」
「仕方ないって?」
「…婚約者、なんだって。誰にも話してないって言ってたから、啓太も黙っててね」

