教室に着き、席に座ると前の席の
影宮 郁斗(かげみや いくと) が振り返ってきた。

「リンちゃん、浮かない顔してどうしたの?
せっかくのかわいい顔が台無しじゃん!」

郁斗は、花凛の凛だけ取って、リンちゃん呼んでくる。
彼は、身長は179センチとスタイルもよく顔も整っていて、笑ったときに見える八重歯が魅力的だとは思う。
しかし、制服も着崩していて、金髪で軟骨にピアスが開いている。
とてもチャラい見た目をしているが実際、軽いノリだ。


「これが、また朝から入ってたんだよね…」

2通の手紙の封筒をピラピラと見せる。

「リンちゃんモテモテだね。」

とからかうように笑う。

「アンタには負けるわ」

郁斗は、当然だがモテる。
しかし、郁斗自身来るもの拒まず去るもの追わずの快楽主義。
いろんな女の子達に常に囲まれている。

ただ、その郁斗は、家族を大事にしていて、体の弱いお母さんに代わって、料理を作ったり幼い弟のをお迎えに行ったりするらしい。
父親は、単身赴任らしく家族をほっといて仕事ばかりしているらしく好きではないそうだ。
だから、彼女より母親や弟を優先するし、派手な見た目をしているくせに、趣味はお菓子作りと手芸で、得意な料理は肉じゃかと魚の煮付けという女子力100%の男だ。

でも、女の子達はそんな事知らないし、
郁斗のことを、ちょっと派手でチャラくて女の子に優しい
今どきの男の子だと思っている。


なんで、あたしが郁斗についてこんなに詳しいかというと、
郁斗とあたしは幼なじみ。

家も近くだし、なんでも話せる仲、悪友という感じかな。



「もし、どうしても困ったら言いなよ」

「アンタより涼香に言う。涼香の方が頼りになるしね!」

「え?俺、泣くよ?」

「あんたの、泣き顔なんて誰も喜ばないって!」

「リンちゃん、ひどいなぁー。」

と、郁斗はヘラヘラと笑った。