今は、夏休み。
しかし、3年生のあたし達は、学校で補修がある。

今日は、部活もないし、勉強だけのために学校にくるなんてダルいな…。

あたしは、学校の玄関をくぐり、靴箱を開ける。
上履きのうえに、手紙が入っていた。

今日は、2通か…。

あたしの、靴箱にはよく手紙が入っている。
6割が、ラブレターで4割が嫌がらせの手紙だ。

中身を確認すると、一通目は少し汚ない、いかにも男の子ぽい字で、
「放課後、お話ししたいことがあります。校舎裏で待ってます」
と、書かれてあった。

2通目は、丸い可愛らしい文字だが、
「マネージャーで、ちょっとかわいいからて調子乗んなよ!クソビッチ!
二度と、広瀬くんと話さないで!広瀬くんがかわいそう!」
など、長々といろいろ書かれていた。

いやいや、かわいそうなのあたしだから!
あたしは、広瀬にムカついてるし、
あいつは、あたしのことを舐めている。

こういう手紙はよく来る。
広瀬だけではない。雪代くんや部長に近づくななど、
部活で人気のある男子のファンからたくさん手紙が届く。
ヒドイ時は脅迫のような手紙だったり、カミソリが入っていたこともあった。
あまりに日常茶飯事過ぎて慣れてしまったくらいだ。

涼香にも、入学当初同じように、嫌がらせの手紙が来ていたのだが、
涼香は、その手紙を破り捨てて、自分の靴箱に
「次、手紙入れたやつは、ぶっ飛ばす!文句あるやつは直接言いに来い!」
と書いた紙を堂々と貼り付け、それ以降涼香への嫌がらせの手紙は減った。
むしろ、そんな涼香がカッコいいと、涼香に惚れる女子まで出てきた。

もちろん、あたしにはそんな行動するほどの度胸はなく、涼香に手紙を送れないぶん、あたしへ怒りをぶつけてくる人もいて、あたしへの手紙は増加傾向にある。

あたしは、さらに憂鬱になった気分で、深いため息をつきながら教室へ向かった。