「もう!なんなよ!アイツ!」

あたしが、むくれながら言うと

「悪いやつではないんですよ。多目に見てやってください。」

なんて、雪代くんは眉を下げて困ったように言う。
実は、広瀬と雪代くんは幼馴染みであり、あまり人を寄せ付けない広瀬だが、
よく雪代くんとは一緒にいるところを見かける。

「アイツ、実は優しいところあるんですよ。
今も、観月先輩が大変そうだからタオル持っていってくれたし…。
さっきも、観月先輩が一人でタオル取りに行ったって聞いて、手伝いに行ったんだと思います。」

そう言って、にっこり雪代くんは諭すように微笑む。
「ほんとかなー?あたしには、優しさが感じられないけどな!」

「不器用なやつなんですよ!」

必死に、幼馴染みを庇うする雪代くんがかわいい。

まー、実際助かったし、雪代くんに免じて許してやろう!

「ほら!あたし達も行くよ! 早くしないと涼香に怒られる!」

「そうですね!」

あたしたちは、慌てて駆け出した。