練習が終わり、家に帰るとバタバタと掻き込むようにお昼ご飯を食べて、
そのあと、シャワーを浴びた。

タオルで、髪をかきあげ乾かしながら、あたしはクローゼットを開ける。
並んだ色とりどりの服を見つめ

なに着よう…。

あたしは、黒のショートパンツに細めの赤いベルト、そして白のオフショルダーシャツを掴む。

こんな肌の見える派手な服アイツ嫌がりそうだな…。

『観月さんせっかく今日は薄化粧だったのに…』

前にお祭りで言ってた、広瀬の言葉が頭によぎる。

アイツもきっと清楚なのが好きなんだろうな。

あたしは、手に持った服をクローゼットにかけ直すと、おばあちゃんが前にプレゼントしてくれたスカートを奥の方から引っ張り出す。
真っ白の膝まであるスカートだ。ふんわりとしたレース生地で愛らしい。
あたしの趣味じゃないから、ほとんど着ていなかった。
そして、白い襟のついた淡い水色のシャツを取り出した。

化粧も少しだけ薄くしてみようかな…。
なんて、思いながら準備を終えたあたしは、全身鏡でチェックする。

なんか清楚な感じ?悪くないんじゃない?
と、自画自賛したところで、ハッと我に帰る。


なんであたし、広瀬の趣味に合わせようとしてんの!?
別に広瀬が本当はどんなの好きとか知らないけど…。

なんか急に恥ずかしくなって、あたしは真っ赤なチェリー色のリップを手に取ると、薄く塗っていたサクラ色の鮮やかなリップの上にグリグリと塗り直した。