次の日の朝、あたしはいつも通りへ学校へ向かう。

今日は、午前は受験対策の補修だ。午後からは1、2年生と合流して部活。
この暑いのに、午後が部活なんてしんどいなぁ…。


不満を抱きながら、歩いていると少し前に見慣れた高身長の部活のジャージを着た
男子に気づく。


「おはよー!雪代くん」

後ろから叫ぶと、雪代くんは振り返りいつもの爽やか王子様スマイルで

「おはようございます」

と、返してくれる。

私が追い付いて、雪代くんの横にならんで歩き出す。
ふと、雪代くんの部活用のバックを見ると、昨日の犬のストラップが付いていた。

ほんとに嬉しかったんだな…。なんだか微笑ましい。


「足、大丈夫なんですか?」

「昨日は途中で帰ってごめんね。少し痛むけど部活には出られそうだし大丈夫だよ」

心配そうな表情をしていた雪代くんが、「よかったです」と微笑む。

「あの、お願いがあるんですけど今日部活のときでいいんで、
柊晴に大丈夫ってこと伝えてもらえませんか?昨日、観月先輩が怪我したこと自分のせいだって、気にしてると思うんですよね。」

「え、広瀬のせいじゃない!」

雪代くんは、困ったようなそして呆れたような顔で

「それでも、柊晴は生真面目だから。責任感じてると思うんですよね。
昨日も怪我したこと、言いに来ると「先に帰ります」って言って花火も見ずに帰っちゃいましたし。」


やっぱり、広瀬は昨日の花火見てなかったんだ…。


「わかった!部活のとき声かけて謝っとく。」

あたしが、頷くと

「あと、昨日成海先輩に浴衣着せてくれてありがとうございました。
とっても綺麗でした。」

ふわりと微笑む、雪代くんをて涼香がとっても愛されていることが伝わってくる。

「もう!涼香ばっかり褒めちゃって!あたしは?」

と、からかうと、
「もちろん、観月先輩も似合ってましたよ。」

少し焦ったように雪代くんが付け加える。

「はいはい、ありがと!涼香と二人での花火はどうだったの?」

「楽しかったですよ。目を輝かせて空を見上げてる姿かわいらしかったです。」

告白とかはしないの?と、聞こうとしてやめた。
そこまで、あたしが踏み込んでいくのは余計なお世話だ。
きっと、雪代くんには雪代くんのタイミングがあるし…。

「そっか。よかったね。じゃあ、練習頑張れ!またあとでね!」

校門をくぐり、校舎を前にしたあたしはそう言って、グラウンドに向かう
雪代くんに手を振った。