次の日涼香を、早めに家に呼んだ。

いい案っていうのは、涼香に浴衣を着せること。  

絶対、雪代くん喜ぶ!

あたしの家は、おばあちゃんが和服好きでたくさん浴衣や着物がある。
だから、どれか選んで着せよう。


家に来た、涼香は並べれた浴衣を見た瞬間から、眉間にシワを寄せた。

「言っとくけど、私着ないからね。」

「なんでよ!」

「だって、浴衣って動きにくい」

むっとした表情で涼香が答える。
たしかに、涼香は制服以外で滅多にスカートを履かない。

「運動しに行くわけじゃないんだから、動きにくくていいの!」

あたしは、ほらほら脱いで!と無理やり、涼香の服を脱がしにかかる。

そして、浴衣の中から濃紺の物を掴むみ、涼香に着付ける。

「花凛めっちゃ不器用なのに着付けとか出来たんだ。」

帯を結ぶあたしに、少し驚いたように涼香が言う。

「浴衣くらいわね!」

と、言いながら最後にきゅっと引っ張った。

よし出来た!

そして、嫌がる涼香を鏡の前に座らせて髪を結ぶ。
首筋が見えるように髪を上にあげて編み込む。
最後に真っ赤な髪飾りをして完成だ。


「出来たよ!やっぱり涼香は綺麗だね。」

あたしの見立てはやっぱり間違ってないな!
濃紺に真っ赤な椿の柄の和風な浴衣に涼香の黒髪が映えていて、
キリッとした美人の涼香によく似合っていた。

「なんで、颯真達と出掛けるだけでこんなに着飾んなきゃ行けないんだよ!」

「うるさい!たまには、いいでしょ!あたしも着替えるから待ってて」

まだ、不服そうな涼香を横目に
あたしは、大急ぎで浴衣を着ると

涼香に逃げられないよう手を引きながら待ち合わせ場所へ飛び出した。