外周の待機場所である校門から、少し歩いてグランドへ向かう。

校門とグラウンドの間にある、体育館からはバスケ部の声が聞こえていた。

こんなにクソ暑い日の体育館は、蒸し風呂状態だろうな…。
なんて、思いながらジリジリと真夏の太陽が照りつけるグラウンドの片隅にある
部室の扉を開ける。

うちのサッカー部は強豪ということもあり他の部室よりは広いうえに、
部長が綺麗好きの完璧主義者ということもあり、男ばかりの部活としては
臭くもなく、きちんと整備されている。

あたしは、洗い立てのタオルが大量に入ったかごを掴む。
いくら、タオルだけといっても60人近くいるため、かなりの量があり重たい。

しかし、、もうマネージャになり3年目にもなれば慣れたものだ。

「よっこいしょ」
かごを抱えるように持ち上げ、足で無理やり扉を開けて
涼香のところへと向かう。



「ほんと、暑いし、重い…。」

独り言を呟く。

その時だった。

「キャ!」

たまたま、グラウンドに転がっていた野球部のボールを踏み、
後ろに滑りこけそうになる。

ヤバイ…。

そう思って目をギュット閉じた瞬間。

ガシッ

後ろから、支えるように肩を捕かまれる。

斜め上を見上げると、

「広瀬…。」

後輩の、広瀬 柊晴(ひろせ しゅうせい)だった。
彼の片腕に体重をかける感じになり、慌てて体制を戻す。

転ばなくてよかった…。もちろん、洗濯したてのタオルも無事だ。

「はぁー。」
後輩の深いため息が聞こえた。

「観月さんは、満足にタオルすら運べないんですね。」


小馬鹿にしたような、生意気な言い方と目付き…。

コイツは、あたしの最大の敵だ!!