☆☆☆☆☆☆☆広瀬柊晴side☆☆☆☆☆☆



角を曲がっていった、先輩二人を見送りまた、歩きだす。


「もっと、鳴海先輩と一緒に居たかったな…」

雪代が、心底残念そうに言った

「どうせ、また明日も会うだろ?」

「違うんだよ!一分一秒でも長く一緒に居たいだよ!」

雪代は、俺よりも身長が高くて、爽やかで真っ直ぐでピュアだ。
正直、ピュアで素直すぎるところがウザくも感じるが、
皮肉れた性格の俺はその純粋さが羨ましくもある。

「絶対に鳴海先輩にふさわしい男になる!」

そう言って、ニッコリと笑う雪代は間違いなく母性本能をくすぐるタイプだろう。

「いつも、そればっかり言ってるな。勝手になっとけ!」

「でも、いろいろ言ってても、柊晴って優しいよね」

「は?俺が?」

自分で言うのもなんだが、俺は、コイツとは違って誰にでも
紳士的に優しくなんて出来ない。

「歩幅」

雪代が、俺の顔を覗き込むように呟いた。

「合わせてたでしょ?身長の低い観月先輩に。」

「は?たまたまだろ?」

俺は、出来るだけ無表情で答える。

「ほんと、柊晴は素直じゃないなー。」

ちょっと、からかうように言う雪代にイラッとする。

「それに、なにかあったんじゃない?さっき。観月先輩、最初目が赤かったし。」

「あぁ。告白断って男に絡まれてた。」

思い出して、少しイラッとする。
泣きそうな顔でこっちを見つめてた観月さんは、ほんとに頼りなさげだった。
あの時、ほんとに俺が通りがからなければどうするつもりだったんだよ。
もっと、あの男シメとけばよかったかもしれない。

「柊晴怖い顔になってるよ。柊晴ってわかりやすい。」

「お前の方がわかりやすい。」

雪代は、にこにこしながらこっちを覗き込むと

「ほんと、観月先輩のこと好きだよね」


「はぁー!?そんなじゃねーし。バカ」

「あ、柊晴の顔赤くなった!小学生じゃないんだからさ、素直になろうよ。」

「ちげーよ。あの人をからかうと面白いだけだから。」


否定しても、ずっとにやにやしている雪代に軽く腹パンして、

早足で歩く俺の後ろから、


「ちょっと待ってよ!」

という、雪代の声が聞こえていた。










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