「誤解するな!気持ち悪いとか言うなよ!!

 その…お前いつも…ちょっといい匂いするじゃん?
 それが今日はいつもよりはっきりしてるから…」


(いつもいい匂いするって…!?)


 私もさっきにも増して自分の頬が熱を持って紅潮するのが分かる。

(そんなこと思ってたなんて…恥ずかしいよ)


 でも、先生の頬は更に紅くて。


(先生可愛い…)


 大人なのに、あんなにカッコ良いのに女の子の香水に照れるとか…

 なんだかすごく先生が清廉に見えた。


「先生、この匂い嫌い?」

「…嫌いじゃないよ、ていうかむしろ…」


 先生が顔を背ける。


「…き」

「え?なんて?」

「そんなことはどうでもいい!早く行くぞ!!」


 先生は私の手を引いてぐんぐん歩いていく。

 私は引っ張られて小走りになる。


「お前、妹のくせに生意気」

「えっ!妹関係ないよね、今の!?」


 先生は更に早足になる。


「早いよ!待ってー!」


 私は今、胸の奥から止めどなく込み上げるくすぐったいような嬉しさで溢れていた。

 色付いた頬で先生と手を繋いで走っていると、私も今日は道行く人から『制服デート』に見えてたりするのかな?


 そんな妄想、先生に申し訳ないかな?


 でも妄想くらい、ね?いいよね…?


       *   *   *