星降る夜はその腕の中で─「先生…私のこと、好きですか?」




ピピピピピッ…



 突然電子音がして、私が眼を開けるのと先生が私から離れて立ち上がるのが同時だった。

 先生がキッチンで火を止める。


(今の…キス…寸前だった…?)


 今になって激しい鼓動がドクンドクンと胸を打つ。

 先生の視線、吐息…
 無意識に思い出されて、私の頬を染める。


 しばらくして、先生がカップを手に戻ってきた。

「悪いな、インスタントで。それと砂糖はあるけどミルクはない」

「…いいよ全然、ブラックで。ありがとう」


 先生からカップを受け取る手が少し震えた。溢さないように両手でしっかり包み、一口飲む。


「熱」

「淹れたてだからな。気を付けろよ?」

「ん。でもあったまる」

「そうか」


 それからしばらく会話もなく、私はゆっくりコーヒーを飲み、それを先生は隣で待っていてくれた。

 ドキドキと打ち鳴った心臓もコーヒーの香りと温度に次第に落ち着いていく。それにつれて疲労感と眠気が身体にのし掛かってくる。