先生の家の最寄り駅で電車を降りると、駅前のスーパーに立ち寄って、食品売り場で材料を買うことにした。
「何がいいかなぁ」
野菜売り場、魚売り場と眺めながら考える。
(先生っていつも何食べてるんだろう?)
そう言えば私、そういうこと意外と知らないんだ。
先生のことこんなに好きで、ホントはいつでも一緒にいたいくせに、でも肝心なことは案外知らなかったりする。
魚の並ぶ冷蔵ケースを覗く先生の横顔をじっと見上げる。
「ねぇ、これ透き通って見えない?石川県産のスルメイカ」
虹色に煌めくイカのパックを手に先生が私の方に顔を向けた。不意に至近距離で眼が合ってしまってどぎまぎする。先生はそんな私をくすっと笑う。
「何見てんの?」
「べ…別に」
無意識にイカのパックを受け取る。
(あ、そうだ。ペスカトーレにしよう)
そうだね。
これからもこうやって先生の好きなもの、少しずつ少しずつ知っていこう─
スパゲッティーやカットトマトの缶詰、にんにくなんかを買って、先生の家へと向かう。
夕空の下、ふたり手を繋いで辿る家路は幸せで、いつかお互い歳を取ったら、毎日をこんな風に過ごせたらいいなと、願わずにはいられなかった。
*
「何がいいかなぁ」
野菜売り場、魚売り場と眺めながら考える。
(先生っていつも何食べてるんだろう?)
そう言えば私、そういうこと意外と知らないんだ。
先生のことこんなに好きで、ホントはいつでも一緒にいたいくせに、でも肝心なことは案外知らなかったりする。
魚の並ぶ冷蔵ケースを覗く先生の横顔をじっと見上げる。
「ねぇ、これ透き通って見えない?石川県産のスルメイカ」
虹色に煌めくイカのパックを手に先生が私の方に顔を向けた。不意に至近距離で眼が合ってしまってどぎまぎする。先生はそんな私をくすっと笑う。
「何見てんの?」
「べ…別に」
無意識にイカのパックを受け取る。
(あ、そうだ。ペスカトーレにしよう)
そうだね。
これからもこうやって先生の好きなもの、少しずつ少しずつ知っていこう─
スパゲッティーやカットトマトの缶詰、にんにくなんかを買って、先生の家へと向かう。
夕空の下、ふたり手を繋いで辿る家路は幸せで、いつかお互い歳を取ったら、毎日をこんな風に過ごせたらいいなと、願わずにはいられなかった。
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