「南条がそうまでしてでもやりたいことを見付けたのに、ご両親がどうしても認めてくれない、もしそういう時は、」
優しかった先生の表情が一瞬きゅっと険しくなる。
それからもう一度柔らかい笑みを湛えて続けた。
「俺、一緒に話しに行ってやるよ」
大きな欅の葉陰からキラキラと木漏れ日が落ち、先生の顔に髪にと降り注ぐ。
陽光と先生の優しい笑顔が眩しい。
「だからまず一緒に探そう?
そんな風にやりたくないことから逃げるために無気力になって生きてる、その時間が『お前には勿体ない』よ」
「…私でも…見付かるのかな?」
「私でも、じゃない。南条だから見付かるんだ」
先生はきっぱり言い切って、私の頭に掌を優しく乗せた。
先生の言葉ひとつひとつが胸に染みる。
私でも見付かるのかな?
半信半疑。
でも、今は、今は先生を信じてみたいと思った。
そして私だから見付かると、私を信じてくれた先生に応えたいと思った。
「どうしたら…見付かるかな?私、何からやったらいいんだろう?」
「ゆっくりでいいんだよ。考える時間も価値があるから。
無気力でやり過ごす時間より何倍も尊い時間だから」
そう言って先生は微笑む。
神々しく心に染み込んでくるように。
「南条のために力になりたい。俺に協力させてくれる?」
(私の、ために…?)
「俺に立ち会わせて?南条が自分の大切なものを見付ける瞬間を」
思わず私の瞳に熱いものが溢れそうになる。
だって、今まで誰も私に言ったことのない言葉を、今一番愛おしい人が言ってくれるのだから…



