(先生…)

 仁科先生の話は本当なんだろうか?
 そうしたら先生はまだ私のこと…


(私のこと、好きでいてくれてるって…信じてもいい…?)


「アイツ、こんな時期にお前の力になってやれないのが申し訳ない、ってそれはそれは悲愴な顔して言ってたぞ。
 それこそお前に何かあったら、仕事なげうってでも駆け付ける勢いだった」

「せんせ…」


 胸がいっぱいで、リボンの上から両手を重ねて押さえ付ける。


 ねぇ先生?

 私を守るために『別れよう』って言ったの?
『私も一緒に学校辞める』なんて言い出しそうな私の性格、全部分かってて何も言わずに別れようと思ったの?

 それって…

 私のこと今も…愛してくれているの?


「逆に言うと、お前がホントにヤバい時はアイツが必ず助けに来るってことだから。安心しろ」


 にっと笑って言った仁科先生の言葉に、私はリボンの上で握り締める両手に更にぎゅうと力がこもる。


(先生…先生!)


 今は離れてしまっているけれど、でも気持ちは、気持ちだけは傍にいる。それがどんなにか私にとって心強いか。

 離れてみて余計に分かった。

 もう、貴方なしでは生きれない、って─