「悪ぃな。みんな舞奈に会いたいっつって」

「あ、ううん」

「てか俺が見せびらかしたかっただけかも」

「え…」


 そう言う不意打ち、やめてほしい。
 意図せずもドキドキしてしまう。


「この後どうする?」

「この後?」

「折角だしデートしよ?」

「!」


 清瀬くんが横目で視線を投げて微笑む。
 その瞳はクールなのにどこか色っぽくて…


(…!)

 私は慌てて眼を逸らす。


 そんな私の耳元に清瀬くんは口を寄せる。


「それともうち来る?」

「!!いっ、行かないしっ!!」


 清瀬くんは堪えきれないというように大笑いして、それから綺麗な微笑みで

「舞奈マジ可愛いね」

なんて言う。


(こういうことさらっと言うんだもん、そりゃモテるよね)


 顔を背けた私に清瀬くんは訊ねる。


「じゃカラオケ行く?」

「カラオケ…」


カラオケだと清瀬くんと完全にふたりきりになってしまう…


「舞奈何考えてんの?もしかしてやらしー想像したでしょ?」

「してないよっ!」


 清瀬くんの前では考えることも出来ない。要注意だ。


「俺も『行きたーい!』て言われても困ると思ったからいいよ」

「?なんで?」

「俺、歌苦手だから」

「そうなんだ?」


 清瀬くんにも苦手なものあるんだ…


「じゃこの辺りなら…ゲーセン?」

「私、ゲーセンで遊んだことなくて。プリ撮りに行ったことくらいしか…」

「じゃゲーセンの遊び方教えてやるよ。ついでにプリも撮ろう?」

「え…」

「あ、プリも密室でふたりきりだーとか思ってる?舞奈意外とむっつり…」

「違うってばっ!」


 膨れた私の頬を清瀬くんが人差し指でつつく。


「もう!」

「はいはい、早く行こう?帰り遅くなると困んでしょ?」


 結局清瀬くんのペースだ…