昼下がりの裏通りのハンバーガーショップはやはり空いていて、長居して勉強を教えてもらうにはちょうど良さそうだった。


「南条何飲む?」

「私、木苺フレークシェイク!」

「またなんか可愛いもの選ぶなぁ」

「ここ来たらいつもこれって決めてるんだもん」

「じゃあ木苺フレークシェイクとブレンドコーヒー」

 先生が注文してくれる。


 私がお財布を取り出すと、先生が手で制す。


「いいよ。このくらい」

「え、でも先生、来てもらった上に悪い…」

「誘ったの俺だし。それに南条頑張ってるから」

「…ありがとう。じゃあ必ずどっかでお礼するね!」


 私が言うと先生は

「期待して待ってる」

と私の好きな甘い笑顔で言った。



「木苺フレークシェイクとブレンドコーヒー、お待たせ致しました」

 艶々の赤いジャムが美味しそうなシェイクがトレーに乗せられる。

 先生がトレーを取り上げ、上階へ上がる階段へと向かおうとした時、背後から

「舞奈!」

と呼ぶ声がした。


(え…?)

 声の方へと視線を向ける。


「!!」

「木苺シェイクなんか頼む人、お前以外にいるんだー、とか思って見たら、やっぱお前かよ。

 って…舞奈、『お友達』?」


そう言って先生に視線を移したその人物は…



「お兄ちゃん!!」



 兄だった…