君の残り時間を僕にください

今日もあの病棟にレントゲン予約が
8件も入っていた。


5日過ぎて、彼女を横目に
自分の仕事をする日々にも慣れ
苛立ちも冷めた頃だった。




病棟の1室が騒がしい。


どうやら退院みたいだ。


家族が退院の準備をしており
薬剤師や看護師がせわしなく
出入りしている。


検査予約が入っている患者が
同室であったため、検査の準備をしてる時
ふと声がした。



「ちょっと、兄さん」


声の先は、退院する患者だった。


「あの時の!」


レントゲンを拒否した患者だった。



「あの時は、すまんかった。
実はな、家に帰りたかったんだが
家族に悪いと思って諦めてたんだよ。
あの時の検査してくれてありがとうな。
お陰で帰れたもんだ。」


あの時の怒り顔はもうなかった。





「いえ、お大事に」




準備が整ったようで、部屋から出るとき。



彼女に手招きされた。