廊下に出て司に声をかけようとした時。
私の足が止まった。
いや…
正しくは、止められた。
右手は司が掴んでいるけど、左腕が新しい温もりに包まれた。
それだけで、手を握られただけで誰だかわかってしまう私は重症なのかもしれない。
「俺が行く」
低く、大好きな声が廊下に響いた。
「誰のせいでこんなに泣いてるかわかってんすか」
「わかってるよ」
「なら…」
「それでも俺のだから。お前には渡せない」
先生がそう言うと、司は私の手を離した。
「1限目、数学で自習にしてあるからちゃんとやれよ」
いかにも‘‘先生’’らしい言葉を吐いてるけど、私を見る目も掴む腕も‘‘男’’だった。
不安になって司を見たら、その目は確かに「逃げんじゃねぇぞ」って。
そう言ってた。

