「あ、見て聖南ちゃん。観覧車」



「…ホントだ、綺麗」




海の向こうに光る観覧車。




銀色に光るそこは、まるで指輪みたいだった。




「…あの観覧車の下のホールで、いっつもピアノのコンクールをしてたんだ。」




懐かしい記憶が蘇ってくる。


あそこのホール、めちゃめちゃ広くて綺麗なんだよね。




「…知ってるよ。実は何回かこっそり見に行ったことあるし」




「え、嘘でしょ!?」




「言ったでしょう?ずっと好きだったって。

聖南ちゃんが記憶を失っていたとしても、その姿を一目でも見たかったから。

…って、なんかストーカーみたいになっちゃった」




春翔は恥ずかしそうに頭をかいた。