「行こっか、聖南ちゃん」



「は、はい...」




有無を言わさずという言葉が似合う春翔の眼差し、正直苦手。



どうしてか逆らえなくなってしまうんだ。




「エスコートしようか?」


「結構です」





黒い笑顔を浮かべつつ優雅に手を差し伸べてきた春翔だけど、もちろん丁重にお断り。





誰が遊園地でお坊ちゃまの本格的なエスコートなんか望むかって。




「はいそこ、座る」


「...え?私たちポップコーンを買いに来ただけじゃ」




「問題です」


「え?」




半ば強制的にベンチに座らされ、にこやかに私の前に立つ春翔に見下ろされる。





「俺は今、なぜ怒ってるでしょうか。はい、10秒で答えて」


「10!?」




怒ってるというか、機嫌悪そうだなぁってのはなんとなく気づいてたけど。



理由なんか分かるか!!!





「はぁ...」