「知ってました? カップルの復縁率って30代になるとあがるんですよ」

「え、そうなの」

「元々男性って1度付き合った女性はいつまでも自分のことを好んでくれていると思うものなんですよ。別れてしばらく経って、今頃どうしてるかな? って思った時に再会なんてしちゃったら、焼けぼっくいに火ですよ」

「怖いこと言わないでよー」


両耳を塞いで怯えるポーズを取ったところ、あずちゃんにその手を掴まれ「脅しじゃないですからね」と畳みかけられる。

こうなったらもうどっちが先輩で後輩かなんて分からない。


「デート、誘いましょう」

「で、デート?」

「紗夜先輩の長所なんて一途以外に無いんですから。押して押して、引かれても押すくらいの勢いで誘いだしましょう」

「が、がんばる」


頷いた私に、あずちゃんは微笑みながら自分のお腹を撫ぜた。

胸の下辺りで切り返しがあるワンピースの中に隠されているお腹は、まだ言われなければ分からないほど小さいけれど、順調に成長しているという。

何をしてるの、今ね、恋バナをいるんだよ。

そんな会話を交わすような仕草をするあずちゃんは、すでに母親の顔で。

私もいつか、こんな日が来るのかな?

と、ぼんやり思った。