その考えはおそらく水瀬さんも同じで。
私が大河原さんにされたことを公にしないのは理解できないと言いつつも納得してくれて、最善の方法を導き出してくれた。
「それにしても、水瀬さん。あの大河原さんをどうやって説得してくれたんですかね?」
「聞いてないの?」
「ないですないです、いきなり一緒に来て、2人で話し合えって言って帰っちゃったから」
「それはまた唐突だね」
でも、水瀬さんらしいといえば、水瀬さんらしい。
力づくだったのか、説教でもしたのか、はたまた脅したのか、どれもありそうで無さそうでちょっと不思議だけど、大河原さんの心を動かしてくれたのは確かだ。
やっぱり、頼もしいなぁ…。
「それで? 先輩の方は何か発展ありました?」
「無いよ」
「またまたぁ、二泊三日の出張ですよ? ちょっとくらい何かあったでしょ」
「うーん、あったような無かったような」
「どっちです!?」
「元カノが現れた」
「まじですか、それかなり興味あります」
目をまん丸にしたあずちゃんは、ぐいっと前のめりになり話の続きを促す。
どこまで話していいか分からないから、彩さんから聞いた過去の話はせずに、自分で見た部分だけをかいつまんで説明すると、「何のんびりしてるんですか」と叱られた。