結果的に、私のしたことはただの撃沈でしかなくて。
大河原さんが妊娠させた相手が、あずちゃんだという証言も得られなくて、先輩として情けない限りだけど、言いたいことは言えたんだ。
ちゃんと責任とれって。
それで、あの大河原さんが改心するとは思えないけど、少しでも心のしこりになればいいなって。
だから――――、
「自分の後輩のお腹にいる子の父親が大河原かもしれない。もし、そうだったら、ただでさえ浮名を流している大河原に今以上のレッテルを貼りたくないってことかな? 後輩のためにも、産まれてくる子のためにも」
「そうです」
水瀬さんは理解できないといった顔をしているけど、やはり彩さんは同性とあって私の言わんとしていることを分かってくれたようだ。
もしここで、睡眠薬を飲まされたかどうか検査して、被害届を出したら、大河原さんは捕まってしまう。
被害届を出さないにしても、社会的地位を失うかもしれない。
そうなったら、あずちゃんや、その子が可哀想だ。
「俺にはさっぱり分からんが、高木がそこまで言うなら好きにしたらいい。だが、その話を聞いた以上、俺も黙ってられないからな」
「はい」



