子供の頃、共稼ぎだった両親に代わり私を育ててくれたのは父方の祖父母で、特に祖父とは一緒に釣りに出かけるなどして大の仲良しだった。

運動会や音楽祭、家族との旅行も両親より、祖父と笑い合っている記憶の方が濃い。

もちろん祖母のことも大好きで、おふくろの味といえば、祖母が作った煮物を思い出す。

そんなわけで、祖父母世代の人たちと話したり甘えたりすることが無意識にできるようで、感心事も自然とそちらの方に向いてしまう。


「私、将来はご高齢の方をもっと喜ばせる仕事がしたいんです」

「つまり、転職を考えていると?」

「違いますよ、今の職種で。もっともっと高齢の方がお洒落を楽しめる製品を作りたいなって」


歳をいくとどうしても、髪の量が減ってしまったりボリュームが無くなったりして。思い通りのスタイルを作れなくなると、外出するのが億劫になったり、自信を持てなくなってしまう。

そんな髪の悩みに寄り添ってサポートする仕事がしたい。

子供の頃、祖母に髪を結んでもらった時の嬉しさを、今度は私が返してあげたい。